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All Arounder

第37章 Suggestion



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建物に着くと、人質たちを連れていった

中は廃屋と化し、あちらこちらに蜘蛛の巣が
張り巡らされてある




「先生、怖いよぉ」



怖がる子供の頭を、女は優しく撫でてやった



「大丈夫ですよ、すぐにお家に帰れますからね」



「先生ぇ…」



子供たちは女にしがみついた



「よしよし…」




子供たちを心配させないように気を配る女の行動に、井上は苛立ちを覚えた




ガシャンッ!!



と椅子を蹴倒した



「ぴーぴーと泣くんじゃねーよ、いらいらする」




「…」




少しビビらせれば、すぐに黙る
楽なもんだ





「…なぜ、このような事をなさるのですか?」



女は勇気を出して聞いた



「口出すな」



井上は、女に銃口を向ける



「…はい」




そこへ、Jが入ってきた



「警察がやっと到着だそうだ」


「おっそい御出動だ。
まぁ、とりあえず時間を引っ張るのが目的だからな」





そういえば、自分たちはどれだけここに立て篭もっていなきゃならないか、まだ聞いていない


小泉さんからの連絡が待ち遠しかった


早く大金を手にしたい




そんな俗な考えしか頭に浮かばなかった














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