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子供を安心させようと努めつづける女



何となくそこに、自分と姉の七香を重ねてしまう井上





「…はぁ」




思わずため息をつく





精神的に追い詰められるような感覚に陥ってしまう




早く…早く切り上げてしまいたい












しかし、井上の辛抱は無駄に終わった



誘拐してから数時間経った時、一本の電話が掛かったのだ




小泉からだった





よし、これで仕事が終わる…と喜んでいたのもつかの間


計画は失敗し、報酬も払えない状況だと言われた





「くそ…!!」




井上は机を蹴った




報酬が貰えないとなっては、もう人質に用はない




井上は女の胸倉を掴み、耳元で言った





「逃がしてやる」




「え!?」




確かに驚くだろうな、こうもあっさり逃がしてもらえるなんて
思ってもみなかったろうし






けど、こんだけ働いて報酬なしってのは…











井上は女を抱き寄せ、キスをした









割に合わねーからな…















―――――――







井上はＪと共に、人目に付かない場所まで来た




「計画失敗か…井上はどうするんだ？」




「俺は一旦…小泉さんのとこへ行く。Ｊは？」




「俺はしばらく身を隠すとするよ、じゃ、また会えたらいいな」




「会いたかねー」






Ｊは微笑を漏らすと、どこかへ消えていった








「さて…」







井上も小泉の元へ




足を進めた