All Arounder
第46章 Examine For Examiner
「はい?」
シゲは一段乗せていた足を下ろし、斉藤の方へ向き直った
「おめぇ、気になんねぇのか?」
どき
待て待て待て…親父は何か気になったことがあんのか!?
大志は物置の中で息を殺した
「気になる?」
「ああ、マグカップの向き」
!!??
な、何か気づかれてる!!?
焦ったのは大志と井上だけではない
もちろん千花も冷や汗をかいていた
「何でですか?」
「お前のマグカップ、取っ手がこっち側向いてたじゃねぇか」
ぎくぅ!!
「それが?」
「他のマグカップなんかは、全部取っ手が向こう側を向いてたぞ?」
「はいー?」
シゲは食器棚の前まで歩いていき、それを確認した
「まあ確かにそうですけど…それなら上段のカップだって、取っ手はこっちを向いてますよ?」
ふぅ、よかった
取っ手がこっちを向いているカップは、あれだけじゃなかったのか
「だからよぉ、気づけって」
へ?