All Arounder
第50章 Difference In Age
「俺は今まで、たくさんの人を不幸にした…不幸すら、奪った」
「…どういう…」
目で訴えかける小泉に、美空は口をつぐんだ
小泉も具体的に口に出しても良かったのだが
今この場にいる美空に、どこかへ行ってほしくなかったため
目で訴えかけるしかなかった
人殺し
だと…
「言った方が、いい?」
小泉が尋ねると、美空は首を横に振った
膝に置いた手をギュッと握りしめながら…
「とは言いつつもね…やっぱり、生きたいよ…」
小泉は天井を見上げた
ところどころ穴の空いているボロけた木の板に、クスッと微笑みをつけ足す
「まだまだ美味しいもの食べたいし、まだまだゆっくり寝ていたいし…愛した人とも…過ごしてみたい…」
「なら、生きたらいいじゃないですか…食べて、眠って、過ごしたら…いいじゃないですか」
「…」
小泉は黙り込んだ
美空の顔を見て、思い出したように
また口を開いた
「俺が犯した罪は計り知れない…誰かが俺を許しても、世間が俺を許さない…」
「…」
「って…斉藤なら言うだろうね」
「お父さんが?」
「うん」
「まあ…見掛けの割に、真面目なとこもあるけど…」