All Arounder
第9章 A Couple of Night
外に出ると、まず芝生が目につく
人工のものなので、あたしは好きではなかったけれど…
でもそれ以外に、辺りに植わっている花や草は好きだった
「はい、姫ちゃんに」
立入は、花を摘んであたしに渡した
『…いらない』
「いいから、はい」
強引に押し付けられた花は、あたしの手に抱かれた
「綺麗でしょ?」
『…///』
それから毎週、ある時は毎日のように、あたしは立入と一緒にいた
"笑うな"
嫌…
笑いたい…
こんな無表情を、彼に見せたくない
笑ったあたしを…
見て…
「ほら、たんぽぽ」
『…可愛いね』
あたしは
笑った
笑ってしまった
「姫ちゃん…笑ったね」
『えっ…あ…』
「笑っていた方が可愛いよ」
そう言ってあたしは…
優しく、キスされた
今まで何を我慢していたんだろう
笑うな?
無理だよ
ほら、あたしをこうやって可愛いって言ってくれる人がいるのに…
無表情でなんて、いられない