
狼と白頭巾ちゃん
第20章 空の花
服を着終わったライラとシンは、野原に戻って来ていた。
滝のある場所は野原より森の奥にあり、木に囲まれて日差しが弱く、更には滝から出る飛沫が辺りに霧状に散らばるためか、気温が低かった。
まだ身体が冷えていたライラは、シンに頼んで野原に連れ戻して貰ったのだ。
シンは、ライラに会わせる顔が無いと思っていた。
本当は消えてしまいたかったが、服が無ければライラが水から出られないと分かり、申し訳無く思いながら、声を掛けたのだ。
後は彼女を小道まで誘導して、そしたら直ぐにでも去るつもりで、勿論ライラの身体には指一本触れるつもりなど無かった。
けれどそんなシンの想いを他所に、ライラは服を着終えると、シンの肩に触れてきて、言った。
「野原に連れて行って?」
と…。
驚くシンに、服も髪も濡れてるから暖かい野原で乾かしたいから、とライラは続けた。
当然シンは別々に歩いてライラを案内するつもりだったのだが、冷えて足が上手く動かないからと、半ば強引に言われ、結局腕で抱えて移動する羽目になったのだ。
