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狼と白頭巾ちゃん

第20章 空の花

そして今は、小さな木陰に座って足を伸ばすシンの間に、後ろから抱かれる形でライラがいる。

これも、早く温まりたいと無理を言って、ライラがシンに頼んだのだ。





「…どうして君は、そんなに警戒心が薄いのかな…、ライラ?」



シンは呆れて呟いた。

ライラはシンの身体にすっぽりと包まれている。

まるで自分の身に起こったことを忘れているかのように、体重を全てシンに預け、全身の力が抜けていた。


ライラは顎を上げ、シンの目を下から覗き込みながら、笑った。



「だってシン、ここに来る間もずっと謝ってたじゃない。私も怒ってないし、警戒なんてする必要無いわ。それにこうでもしなきゃ、あなた私から離れてくでしょ?」

「ぐっ⁈」

図星を刺され、シンはびくりとした。

その様子にライラは、やっぱりね…、と片眉を上げた。


「じ、じゃあ、寒いからって、口実だったのかい?それにしたって…「あら!寒いのもホントよ⁈」


シンの言葉を遮るように、ライラは言った。


「だから、これは罰でもあるの!」

「…罰?」

「そう!罰。あなたの所為で冷えちゃったんだから、あなたが温めてくれなくちゃ!」

「…………」



口ごもるシンに、ライラは頬を染めながら続けた。


「私のこと…、大事でしょ?なら、これからも優しくしてね?シン…。私、あなたしか好きじゃ無いんだから…」

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