
狼と白頭巾ちゃん
第20章 空の花
「ライラ…」
その言葉に、どんな意味を込めてライラは言ったのか…。
シンは初め図りかねたが、自分を見つめるライラの瞳が、既に少女のそれでは無くなっていたことに気が付き、瞬時に意味を理解した。
ライラは自分を受け入れたのだ。
かろうじて自制したとはいえ、欲望に勝てず身体を貪った自分を、ライラは許している。
それどころか、構わない、と、彼女は訴えているのだ、と。
シンの胸は、喜びで高鳴った。
ライラを自分の腕の中で、少女から女性へと変化させられる。
それを、ライラ本人から許されたのだ。
「ライラ…、愛してる。大切な、愛しいライラ。ずっと大事にするからね…」
シンは後ろからライラを抱きしめ、囁いた。
「うん…。私も愛してる、シン…」
その腕を掴み、ライラが言った。
陽だまりに足を投げ出し、愛を囁き合いながら、二人は木陰で誓いのキスを交わした。
