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狼と白頭巾ちゃん

第20章 空の花

「んぅっ…」


ちゅ…、ちゅ……


柔らかく温かい、優しいキスを何度も落とされて、力んでいたライラの身体は、徐々に力が抜けてゆく。

やがて離れても、ライラはその余韻で、身体がふわふわ浮いているんじゃないかと思えた。


またすりすりとライラの頬を撫でるシン。

愛おしそうに、シンは微笑みながら頬を撫でている。

その手に自分の手を重ねるようにして頬に押し当て、ライラはシンを見た。


シンも真っ直ぐライラの目を見て、二人はしばし見詰めあった。



「ホントに、大丈夫…?」


ライラは心配そうに眉尻を下げ、聞いた。


「あぁ、大丈夫。心配しないで…?今夜、迎えに行くよ…」


「……分かった…」


シンの揺るぎない瞳の光に、ライラは折れざるを得なかった。


そして、名残り惜しそうに頬から手を離すと、シンは苦笑しながらライラの背を押した。



「……ほら、もう行きな…?」

「うん…」



ライラは何度も振り返りながら、小道へと戻った。

シンは木陰に身を潜め、ライラの姿が見えなくなるまで見送っていた…。

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