狼と白頭巾ちゃん
第20章 空の花
はたして、約束の夜はあっという間にやってきた。
夕飯を家族と過ごしたのち、ライラは直ぐにお風呂に入り、その後は部屋に篭り、一人思案に暮れていた。
窓枠に肘をついて外を眺めると、もう辺りは夜の帳に包まれて、ぽつぽつと灯る窓の灯りだけが、そこに家があるという事を教えていた。
空を見上げると、既に幾つもの星が瞬いていて。
綺麗だと思いながらも、何故か寂しさを感じ、ライラは視線を元に戻した。
(シン、ホントに来る気かしら…)
帰ってから思うのは、そればかりである。
夕飯の団欒中、家族に心配そうに話し掛けられ、自分がいつに無く塞いでいたと気付かされた。
誤魔化すためにその後は沢山喋り、ライラは初めて気疲れというモノを経験した。
カチャ…
窓を開けると、夜風がサラリと流れ込んできて、ライラは目を閉じた。
「気持ちいい…」
思い返せば、今日は色々と初めての経験をしていた。
夜風に吹かれていると眠くなり、ライラは自分で思っていた以上に身体が疲れていたことを知った。
シンがやって来るのは、きっと皆が寝静まった頃だろう。
それまで少し眠ろうと、ライラは部屋の灯りを落とし、ベッドへ横たわった。
目を閉じると、ライラは直ぐに眠りへと落ちていった…。