狼と白頭巾ちゃん
第21章 あげられるもの
「………?」
突然『私の全てをあげる』と言われて、意味が分からずシンは首を傾げた。
勿論、幸せにしたいと言ったあとの言葉なだけに、おおよその見当は付くものの、既にお互いの気持ちも確かめあっていて、ライラの気持ちが自分にあることくらい分かっていた。
だから、聞かずにはいられなかった。
「…全部って…。ライラの気持ちはもう貰っているよ?急に何を…」
真顔で問われ、ライラは自分の放った言葉が余りに大胆だったことに改めて気付き、かっと赤面した。
けれど、もう引き下がれなかった。
「だから、全部よ。心も、身体も…。全部あなたにあげたいの…」
「心も、身体も………、って⁈か、身体⁈‼」
シンはライラの言葉の意味を理解して、そしてその瞬間、どくんと熱いものが彼の体内を駆け巡った。
「あ、あの…、ライラ…?自分が言ってる事の意味、分かってる…?」
シンは、音を立てて跳ねる鼓動を誤魔化すかのように、どもりながらも、声は明るくして聞いた。
ライラは既に答えている。
彼女の顔の赤みが、分かっていることを証明しているのだ。
だからライラは、並んで寝転ぶシンに身体を反転させてくっつくと、その胸に顔を埋め。
そして…。
小さくこくんと頷いた。