狼と白頭巾ちゃん
第23章 選び取る明日
シンは、今まで何度もしていたように、大事そうにライラを抱え上げると、やはり今まで何度もしていたように、まるで風のように走った。
二人が向かうのは、ライラの家。
シンの腕の中で、ライラは家に着くまで瞳を閉じて黙っていた。
やがて村に入り、早起きの村人に見つからぬよう、慎重にライラの家まで来ると。
シンは音を立てぬよう、ライラの部屋の窓に飛び乗り、ライラをそっと中へと下ろした。
ライラが家人を起こさぬよう、小声で話す。
「ありがとう…」
シンはそれには応えず、ただじっとライラの目を見て、言った。
「本当に…、後悔しないんだね…?」
「うん…」
ライラはただ一言囁き、にっこりと微笑んだ。