テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第9章 ふたりの距離

「ライラ、その花園で君が花束を作ってお婆さんに届けたら、きっとお婆さん喜ぶだろうし、明るい気持ちになって元気になるんじゃないかな?」

(いいさ、もし断わられたら、俺が摘んでくれば良い)

「う〜…ん」

ライラは悩んでいた。

ライラの唸り声を聞き、そりゃ悩むよな、と、シンは思った。

誰もいない暗い森で何かあって、ライラが助けを求めても、その声に応える者などいない。

シンの云う“問題”とは、つまりそういうことだ。

悩んで当然だ、と、シンは声を掛けた。

「やっぱり俺が…「ねぇ、シン?」

しかし、途中でライラに遮られてしまった。

「え?な、なんだい?」

慌ててシンは聞き返した。

「その提案の、ドコに問題があるのかしら?」

「…へ?」

思いも寄らぬライラの言葉に、シンは気の抜けたような返事を返してしまった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ