狼と白頭巾ちゃん
第13章 重ねる逢瀬
「フ〜ン、フフ〜ン♪」
…あれから幾度も花園との往復を重ね、森の中での歩き方を覚えたのか、ライラは鼻歌を歌う余裕すら見せていた。
(さっきもあんなに走ってたのに…)
シンはクスッと笑いながら、ふと思い出しライラに聞いた。
「ね、ライラ?君、俺のところに来る途中で転んだりしなかったかい?」
「え?何で知ってるの?」
「そりゃ…、君が走りながら急に声を上げるのを聞いたからさ」
「シンの耳はホントによく聞こえるのね⁈私が転んだのなんて、あなたのいたトコから随分手前だったのに!凄いわ‼」
ライラはもう何度もシンと会っていて。
だから、彼に普通の人と違う処が幾つもあることに気が付いていて。
けれども、少しでもシンの事を知りたいと思っていたライラにとってそれは、むしろ喜ばしい発見なのだった。