テキストサイズ

狼と白頭巾ちゃん

第13章 重ねる逢瀬

初め、その事をライラに指摘されて、怖がられはしないかと必死に取り繕っていたシンだったが、ライラが純粋に驚き喜んでくれる姿を何度も見て、彼はもう、姿意外は彼女に隠したり出来なくなっていた。

それは、自分の気持ちまでも。

「どうしてシンの耳はそんなに良く聞こえるの?」

「それはね、君の可愛らしい声をいつでも聞いていたくて、耳を澄ましているからさ」

ライラに問われれば、素直に答えてしまう。

「ふふっ。ありがとう、シン」

ライラもまた、自分の気持ちを素直に表した。

「転んだ時、挫いたりはしなかったかい?君から血の匂いはしなかったから、ケガはしてないのは知っていたけど」

「えぇ、大事よシン。転んだというか、ちょっと躓いただけだから」

「そうかい?ならイイけど…」

それでも走って来てくれたライラの為にと、シンは、殊更ゆっくりと歩いた。

「それにしても、シンは鼻も良いのね⁈」

「あぁそうさ。君のとっても良い匂いをいつでも嗅いでいたくて、鼻を利かせているからね」

「‼‼ ヤだ〜、私、そんなに臭いの⁈‼」

流石にシンのこの言葉には、ありがとうとは言えないライラだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ