狼と白頭巾ちゃん
第14章 無意識の誘惑
それは、メスがオスを誘う為に発する、『フェロモン』とでもいうような匂い…。
ごく僅かとはいえ、正にそのフェロモンが、ライラから発せられている。
シンは動揺を隠せず、
「…ライラ、……君…⁈」
ふと漏らした言葉にも、それは現れていた。
シンの声音の変化で、ライラはシンが何事か気付いた事を察し、何故かは分からぬまま余計に恥ずかしくて、泣き出してしまいそうだった。
その時、ライラの眼前で一瞬、日の光が瞬いた。
もうこれ以上その場には居らなくて。
立ち上がって駆け出すと、彼女はその一瞬の光に向かってただ闇雲に走っていった。