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狼と白頭巾ちゃん

第14章 無意識の誘惑

「ハッ、ハァッ、ハァハァ…」


息を整えながら、ライラは歩みを進めた。


一歩づつ歩く度に、日の光に包まれてゆく。


「ハァハァ…ハッ……、ハァぁ〜……」


その柔らかい光と、目に広がる鮮やかな緑とに癒され、

徐々に落ち着いてくる呼吸。


「ふぅうぅぅ〜〜……」

ライラは、これでやっと気持ちを鎮められる、と思うと、安堵の溜息を漏らした。


サク…サク…




やがて花園の中程までくると、気持ちも幾分落ち着きを取り戻し、替わりに強い疲労感がライラを襲った。


「はぁ〜〜……」

立っていられなくなって、どさっと腰を落とすと、まだ微妙に上がる息を整えるため、深く息を吸い込み深呼吸をした。

ふと手を見ると、息が上がっていた為か小刻みに震えている。

ライラは俯き、震える手を胸の前で重ねるようにして、さすった。












「……シンの、…ばか……」

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