狼と白頭巾ちゃん
第14章 無意識の誘惑
手の震えも落ち着き、もう一度深く深呼吸すると、段々シンに対して怒りが込み上げてきた。
自分の頬は、未だ赤い。
ライラは震えの止まった手で頬を包み、自分をこんなに恥ずかしい目に合わせたシンに向かって、心の中で文句を言った。
(シンのバカ!もう‼私の気持ちなんて、ちっとも分かってないんだから‼‼)
風は優しくライラの頬を撫ぜてゆく。
熱を持った身体に、柔らかく吹く風は心地よかった。
「気持ちいい風………」
ライラが頭巾をそっと脱ぎ、その心地よさに身を任せようと目を瞑った時…、
ふっ…と視界が暗くなった気がした。
(?)
ライラが目を開けると、何故か自分の周りだけ大きな影が出来ている。
不思議に思って目線を上げながら振り向くと、
そこには…、
黒い大きな獣が、
空を覆い隠すようにして、
そこにいた。