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sex? or die?

第5章 Sector 5 Moon

あの月の下に、
あの人がいるのかな?同じ付きの下にいるあの人のこをと思った時、
また一瞬だけ、すべてがあなたとつながった気がした。

自分の影を追いかけて、
おそらく今地上で一番早いスピードでわたしに向かって走ってきている男の人がいて、
わたしは、その人のことをとても
よく知っている。

いえ、全然知らないのかもしれないけど。一度だけ会って、
セックスした。した、のかな?

もう一度窓を開けた。

さっきよりも湿った空気の匂いがした。

雨が降るのかな?せめて、彼がここにたどり着くまで、もってほしい。

あの人のことだから、間違いなくここにたどり着くはず。

不思議とそのことに対しては漠然とした予感では無く、自信があった。

それに何よりあの人は私に合うために生きているんだって、
いつも口にしてたから、
私に会うまでは絶対に生きているはずだ。ごめんね。

無理させちゃった。半分はわたしのせい。

かなり無理なことをリクエストしたのはわかってるんだけど、
あの瞬間、あの人を呼ばなかったら、
次の機会はいつになってたかわからない。

もちろん、
今日の予定はあらかじめわかっていたけど、
それを事前にあの人に伝えるタイミングが無かったし、
それ以前に前日までスケジュールが入っているのも把握したから夜の移動手段が無いとわかった上で、
わたしのスケジュールに合わせてあの人を動かすのがどうしてもイヤだった。

あの人は何度も何度もなんども何度も、
わたしにいつ会えるのかを問いただして、
わたしはずっと曖昧な答えを繰り返してきた。

初めて会ったあのときとは状況が違う。

あのときはまだ純粋に、
割り切って、初めて会って、どんな風になるのか、
会って、カラダを重ねたあとにどうなっていくのかを想像する余裕もあった。

でも、あれから状況は変わった。何かが変わって、わたしも変わった。

多分それであなたも変わった。もう二度と会わないと、
決めていたわけじゃ無いけど、多分そうだろうなとわたしは感じていた。

会わない、会えない。

どちらでもいい。

もう一度生身のあの人に会うことはないだろう、
漠然とそう思っていた。

でも最後はきっと、彼はやってくるんだろうな。

そういう二つの反発する予感がさざ波みたいにわたしの中で行ったり来たり。

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