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sex? or die?

第2章 Sector 2 love? or kiss?

試しているわけじゃ無い。

いまさら、そんなテストをしたところで、
はっきりした答えがでてくるわけじゃないことは、
わたしも、あの人も知っている。だからテストじゃ無い。

でもテストかもしれない。あの人が思っているような理由のテストじゃ無いけれど。


初めて会ってからしばらくは、
多分うまく進んでいた二人の想いが、あのときから少しずれ始めた。

仕方ない、それはわたしが無意識に望んだことであって、
彼は明確にそれが目的だったっていってた。なんていうマゾヒスト。

そしてあの人は、望んでいたといいながら、そうなることで、彼が求めるもの、
つまりわたしが自分から遠くなってしまうことも知っていた。

というか、そもそもわたし達は、社会的には恋に落ちちゃいけない関係なんだから。

はじめからそのつもりだった。でも、いつからか、そうじゃなくなった。

彼はわたしに何かを求め、わたしは、知らないうちにそれに答えようとしてしまった。

いえ、もしかしたら逆だったのかもしれないけど。

とにかく彼は、わたしが今までみたことの無い、
だれとも違う直球で、わたしを求めてしまっていた。

そして三ヶ月くらい前に、はじめてわたしははあの人に会った。

それまでは、すべてネット中の戯れ言だったけど、
その日を境にわたし達はリアルのつながりを持った。

あの人がいうには720kmと一日という時間を使って、
おまえに会いに来る男は世界で俺一人だ、っていう状況で、
本当にくるだろうなと思ってたけど、ほんとに来てしまった。

そして、限られた時間の中で、わたしたちはどれだけかおしゃべりをして、
何となく彼が強引にキスをしてきて、どうしようかって考えているうちに、わたしは彼に抱かれていた。

約束した時間は過ぎ、わたしはうちに帰る。

帰らなければならないから。

それはあの人だって知っている。

理由は、二人とも同じ。でも、そのときから二人は共犯者になってしまった。

それだけは、事実。愛があろうとなかろうと。

取り残された彼は、
ホテルのドアの外でわたしの肩をつかんで、キスをした。

それは、ほんとにほろ苦い味がしたキスだった。

彼の言葉に嘘が無いのは、
そのキスの味で、わかったような気が、した。

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