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これが私の仕事

第5章 第四夜

久しぶりに住宅街に来た。やはり懐かしい。私もここで生活をしていた。ま、全然覚えて無いんだけどね。かつて、私が住んでいた所の前まで来る。
きっと、もう面影は無いだろう。私が死んでから、家族はここを去っている。今は違う家族が住んでいる。
私『会いたいなぁ…』
自然と出てしまう言葉。私の心の声。会いたい。あいつにも、母さんにも、父さんにも。
私『聞きたいなぁ…』
これは、クロに対して抱いている気持ち。やはり、クロはあいつに似ている。最初は双子かと思った。もう、何度も聞こうとした。しかし、聞いたらいけない気がして未だに聞くことができない。
私は、私はなんで死んでしまったの??私はなぜ火事に巻き込まれたの??そして、火事があった場所って………
私『どこだっけ…』正直あの時の記憶は抜け落ちてしまったのか、全く思い出せない。まぁ、死んでわかるのは、私が女だってことと、火事に巻き込まれたってことくらいなんだけどね。死に神になったときにいろいろと忘れてしまったらしい。
因みに、死んで記憶を無くすと言う人は少なくない。確か、有希も棗も記憶が無いと言っていた。光と流歌はところどころ覚えているが、完璧では無いと言っていた。

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