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対峙

第3章 episode 2

「誠二、おはよう」

「おはよう」

悪夢のあとにただ素直に掛けられる言葉はボクに安心感を与えた。
光彦の言葉にはボクに対する恐怖心や猜疑心はない。
なんの疑いも持たずに触れてくる手にすら温かさを感じる。

「…なにしてんの」

「いや、なんか丁度良い所に頭があったから…」

きっと後にも先にもコイツだけだ。
ボクの頭をくしゃくしゃに撫で回す男は。



久しぶりの安心も、温かさも…奪われるには充分な影を持っていることをボクは自分がよくわかってたはずなのに。
非情な奴はどこにでもいるって知っていたつもりなのに。




「隣町の親殺し…あのチビだって゛噂゙だよ」

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