対峙
第3章 episode 2
映画を観て、買い物して、ゲームセンターに行って…
いかにもらしい遊びをして1日は過ぎた。
そして帰り際に光彦は唐突に言ったのだ。しばらくはボクの中に残りそうな言葉を。
「にしても親の知り合いに孤児院の院長がいて不幸中の幸いだよな」
何気なくて、それでいてどこか台詞じみているその言葉。
聞いた直後は「ああ…」しか言えなかった。
孤児院に帰るとやっぱり一番に院長がボクに声を掛ける。
「お帰りなさい。楽しめた?」
いつも通りの院長。違和感を感じているのはボクだけだった。