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対峙

第3章 episode 2

「…犯人さがし?」

休日の町は小規模ながら妙な活気をみせていた。ざわめく人混みにボクの声は光彦には聞こえにくそうだった。

「そんな大それたことじゃなくてさ、単純に誠二の不幸の元、知っておきたくない?」

ボクは不幸だったのか…それとは少し違う気もするけど…

「今さら…警察に捕まえられないのに、一般人じゃムリだよ」

それに犯人はもしかしたらボクかもしれない。
凶器にはボクだけの指紋がべったりとついていた。
部屋を荒らされた形跡もない。かといって密室でもない。
何より当時のボクは小学生で、争わずに大人二人を殺害できるものなのか…自慢ではないけど、ボクの成長は虐待もあってか同級生と比べると明らかに遅かった。
警察も子供一人には無理だと結論に達したようだった。

「案外近くにいたりするものだと思うんだけどな」

「だったらどれだけ警察は無能なんだよ。うちの両親そんなに交友関係広くなかったみたいだし」

ボクの記憶だとお母さんはいつも家にいて、お父さんも夕方には帰ってきていた。
とても友人と会っているようには思えない。
そもそもの一件で交友関係は調べられているし。一人一人顔を合わせたが、誰一人として見た覚えはなかった。

「そうか…知り合いの犯行じゃないんだ」

そう残念そうに呟く光彦の顔は笑っているようだった。

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