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対峙

第4章 episode 3

「あれ、寝不足?」

「うん」

光彦がボクの顔を覗き込む。
昨日のままの光彦だ。もやもやは消えない。

「…何かあったんだろ」

笑顔のまま、だけど眼光が鋭くなったのを感じた。
なんで光彦はボクのことを読めるのだろう。まるで踊らされているようにすら思える。

「べつに」

なんだか癪だからボクは嘘をついた。
いや、厳密には嘘じゃない。゙何か゛は起こっていないから。

「嘘をつくときに耳触ってんの、知ってた?」

今度はしっかりボクの前に回り込んで言う。光彦の言ったままの状態でボクは固まった。

「…何でもお見通しってやつ?」

「そういうこと」

光彦は再びニンマリ笑いボクの頭をくしゃくしゃにした。

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