テキストサイズ

対峙

第6章 episode 5

院長を人気のない所に呼び出すのは簡単だった。
ボクが言えば何でもするなんて言うような人だから。

゙きっと油断するに違いない゙

光彦は言う。
あまりに素敵に笑うからつられて笑ってしまった。
ワクワクしているボクさえいる。


澤村は約束の時間丁度に現れた。
いつもの彼。優しい雰囲気を纏っている。
ボクは物影から光彦と澤村を捉えた。
辺りは薄暗いからか、澤村は光彦をボクだと思い込んでいる様子だった。

「誠二?こんなところに呼んで…何かあったの?」

数歩歩み寄ってやっと気付いたようだった。
澤村に纏っていた空気が変わった。

「…光彦か?」

「そんな顔するなよ…父さん」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ