対峙
第2章 episode 1
「…しらないよ」
そう言うボクの声は震えてなかったはず。
「なに?そういうことに興味あるの?」
意識しないでも凄んでしまう。
まるで当事者だと言っているようなもので…
興味っていうか…
ソイツの目から輝きが消えて少し冷静になる。
「…だいたい、その親殺しが噂じゃなかったら今頃ニュースになってるだろ」
呆れてみせれば相手の気が緩むのがわかった。
「そうだよな、そりゃそうだよ」
打って変わってまたキラキラ笑うソイツを見て、犬みたいな奴だと心底感じた。
バカにしてるわけじゃない。
変に安心したんだ。
人が笑うこと、久々に感じていた。