偽装結婚~代理花嫁の恋~
第6章 ★Sadness~哀しみ~★
―指輪だよ。本当は誕生日にネックレスではなく指輪を贈りたかったんだ。でも、指輪だと何か特別な意味があると君に負担をかけてはいけないと思って諦めた。
由梨亜は息を吐いた。ミラクル・プリンスが選んだ指輪ならば、さぞかし高価なものだろう。ティファニーの大粒のサファイアとダイヤモンドのコンビデザインだろうか。
―そんな高価なものは頂けないわ。
―おいおい、よく見てから言ってくれよ。バイト代をはたいて買ったんだからね。
―バイト代?
訝しく思って訊ねると、三鷹が小さく笑った。
―君と初めて出逢った模擬披露宴。あのときのバイト代、二五〇〇〇円を全部使ったんだ。本当に安物だよ?
―どんな感じの指輪?
―アクアマリンだって、店の人は言ってた。石言葉もプロポーズには丁度ぴったりだし、デザインも可愛くて値段もどんぴしゃりだったから、即決したんだ。
年収何千億という会社を背負って立つ男が最愛の女に贈るために買ったのは、何と二万五千円の指輪であった―。
由梨亜は息を吐いた。ミラクル・プリンスが選んだ指輪ならば、さぞかし高価なものだろう。ティファニーの大粒のサファイアとダイヤモンドのコンビデザインだろうか。
―そんな高価なものは頂けないわ。
―おいおい、よく見てから言ってくれよ。バイト代をはたいて買ったんだからね。
―バイト代?
訝しく思って訊ねると、三鷹が小さく笑った。
―君と初めて出逢った模擬披露宴。あのときのバイト代、二五〇〇〇円を全部使ったんだ。本当に安物だよ?
―どんな感じの指輪?
―アクアマリンだって、店の人は言ってた。石言葉もプロポーズには丁度ぴったりだし、デザインも可愛くて値段もどんぴしゃりだったから、即決したんだ。
年収何千億という会社を背負って立つ男が最愛の女に贈るために買ったのは、何と二万五千円の指輪であった―。