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偽装結婚~代理花嫁の恋~

第4章 ★惹かれ合う心たち★

 三鷹の腕が由梨亜の背に回り、引き寄せられる。最初は鳥が啄むような軽いキスから、徐々に深くなってゆく。
 三鷹の舌が入ってきても、今度は由梨亜も抵抗はしなかった。舌を絡め合う中に、由梨亜もまた次第に大胆になり、彼の首に両腕を巻き付けて烈しく求めた。
 二人の唾液が混じり合い、ピチャピチャと嫌らしい水音を立てるのも嫌悪感を感じない。二週間前の夜、急にキスされたときには、あれほど嫌だったのに、奇妙なことだった。
 不思議な感覚だ。閉じた瞼の向こうで極彩色の虹が揺らめいているような、幾千匹もの蝶が胎内で飛び交っているような。
 二人は流れてゆく時間さえ惜しむかのように、静かなキッチンで狂おしく唇を重ねた。

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