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なつのおと

第4章 雨が降る




俺がそう言った瞬間、背後でドサッと何かが落ちた音がした。


海斗が目を丸くしている。


「莉穂、お前帰ったんじゃねーの」


え、


多分過去最速であるだろう速さで振り返る。


あわてた様子で学生カバンを拾っている田中さんがいた。


「…っああ、忘れ物したから」


暗いから顔がよく見えない。


なんだか声がうわずっているように聞こえた。


「あーちょうど良いじゃん。さっきのヤツ、聞けば?」


横で海斗が立ち上がったので俺も急いで立ち上がる。


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