なつのおと
第2章 夏のはじまり
通りざまに図書室のカウンターをのぞき込むと司書さんと目があった。
「おす!まっち―!」
「まっち―じゃなくて町田先生と呼べ!ったくまたサボリ?」
若い女の司書さん、まっち―こと町田先生が眉間にしわを寄せているが口は笑っている。
口は悪いけどなかなか良い人だ。
ショートボブの黒髪がよくにあう、綺麗な人だと思う。
「サボリじゃなくて、遅刻でーす。これから行くとこ。えらいべ?」
「自慢げに言うな馬鹿!間に合うようにいけ!」
…はあ。
図書室の司書さんともあろう人がそんな大声出していいのかよ。