なつのおと
第2章 夏のはじまり
ちら、と考えたが元凶が自分なので黙っておくことにした。
「はいはい!じゃね、まっち―」
背中を向けて後ろ手で手を振る。
聞こえよがしなため息が聞こえたがスルー。
大きな欠伸が思わずでた。
図書室のドアを若干迷ってから押し開く
(取っ手に『引かれる』と書かれてる。かなり面倒。ちなみに逆は『押される』)
とむわっとした空気が俺を包んだ。
こっから教室まで2階分階段を上がらなければならない。
だり。
近くの教室で授業している声がする。
1年生の教室だから俺も学習済みの筈だが、聞こえてくる単語が何かもわからずただ流れてくだけだった。