なつのおと
第4章 雨が降る
ハモってしまうほど。
思わず2人で顔を見合わせて声をたてて笑った。
田中さんは無愛想なんかじゃなかった。
ひとつ壁を壊してしまえば笑うし冗談も言う普通の女の子だった。
その後俺たちは2人で駅までいろんな話をしながら歩いた。
本当にお互いいろんな話をした。
例えば、学校のあの先生の口調はなんか変、とか田中さんがピアノを始めた時期はかなり遅いとか。
とりとめも無いことばっかり。
それでも彼女の隣を歩く帰宅路はいつもと景色が全然違った。
今日は俺と田中さんの何かを徹底的に変える何かがあった日で。
俺が彼女に恋をしているということに気づいた日でもあった。
*第4章 雨が降る end *