テキストサイズ

なつのおと

第4章 雨が降る




「雨」



「え?」


ぽつりと呟かれたその唐突な単語の意味が全く理解できない。


出来れば述語も入れてくれると助かる。



「雨止んでるよ」



「え?」



雨が、止んでるだと?


相合い傘できないじゃん。


思いっきりため息をつこうとしたが、田中さんに並んで窓越しに空を見上げて息が止まった。


雨が止んでるどころか雲も無く、澄み切った紫色の空が広がっているのだ。


その深い紫色は今まで見たことのないぐらいきれいで。


「キレイ」


「きれい」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ