
なつのおと
第5章 ふたりがいた夏 前編
「あそこは私有地だから入っちゃいけないのよ?わかってる?」
「はいはい」
「ったく…駄目って言っても行くのよね。誰と行くの?」
ああもう、母さんはぐちぐちうるさいんだ。
靴を履いて(早く走れるかっこいいヤツ)立ち上がる。
「コウタとショウ!行ってきまーす!」
「五時の鐘が鳴るまでに帰って…」
ばたんとドアが閉まり母さんの声が切れた。
さあ!!
待ち合わせの山の秘密の入り口に急ごう!
サンサンと太陽が照りつける中、まだ舗装されていない砂利道を歩いて山に向かった。
