
なつのおと
第2章 夏のはじまり
俺は自分のルックスがそこそこ良いコトを知っている。
街を歩いているとたまに写真をお願いされるし(面倒くさいので立ち止まったことはない)、女がとぎれたこともない。
それがイヤミにならないようにクラスでは明るいお馬鹿キャラを取り繕ってはいるが。
人に言わせれば俺はチャラくて軽薄。
それもちゃんと自覚している。
だけどたまに凄い罪悪感を感じる。
目の前で花のように笑う女に俺は何の感情ももてないでいること。
いつも楽しい場所から一歩引いて冷たく客観視しているもう一つの自分がいること。
