
なつのおと
第2章 夏のはじまり
「その曲!知ってるんですかっ!?」
突然バン!と扉を開けて誰かが飛び込んできた。
気を抜いていた俺はほんっとに驚いて、椅子から転げ落ちそうになってしまった。
「…誰?」
白いポロシャツに、真っ黒でまっすぐなボブカットの髪が肩の上で揺れていて、
黒縁のメガネをかけた色白の身長低めの女。
一息でそのコを説明するならそんな感じ。
俺のすぐ横まで近づいてくる。
俺の質問には答えずにもう一度問いかけられた。
「知ってるんですか、それ」
真っ直ぐ向けられたメガネの奥の目は綺麗な薄茶色をしていた。
