
なつのおと
第2章 夏のはじまり
「うん、まあ、知ってるというかなんとなく聴いた事あるというか…でもこれ君がかいたんだよね?」
「…はい。ほとんどはオリジナルですけど、昔友達と作ってた曲をアレンジしたんです」
伏せたまつげは、つけまやマスカラで飾り付けられていないのにとても長く肌に影を落としていた。
「で、君。誰?」
再びきいてみる。
伏せられた目をあげて俺の視線を絡めとった。
「名前、きいてもいいですか?」
うわ、またスルーかよ!
思わず突っ込みたくなったが、ぐっとこらえる。
「2年3組、間宮。みんなにはハルって呼ばれてる」
「....そう、ですか...」
ねえちょっと、なんでがっかりしてるの?
