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なつのおと

第2章 夏のはじまり




風はさっき止んだ筈なのに。


一陣の風が吹いた気がした。




うわ…なんだこれ。



あの旋律が流れ出す。



再び胸が鷲掴みにされたように苦しくなっていく。



長調でゆったり流れるバラードはどこか短調的な切なさを含んでいて。



それに何より音が。


一音一音が胸に刺さっていく。


さっきより、よほど強く。




激しい曲ではなくて、むしろゆったりしているのに、音が衝撃波のように俺に飛んできて何回も鳥肌を立たせる。



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