
なつのおと
第3章 遠い虹へ
「わかったの?」
必死に自分自身と格闘していた俺にぽつりと投げかけられた声。
「…え」
交わる視線がまっすぐ過ぎてつい目を逸らしそうになるのをたえる。
「オレンジ、わかったの?」
「っあ、うん。なんつーか…うん、…音がオレンジ色だった」
俺の言葉の何が彼女に変化をもたらしたのだろう。
気づけば田中さんのメガネの奥、綺麗な瞳になにか光ものが溜まっていた。
途端に背中に冷たい汗が流れる。
俺、何かやらかしたか!?
「っちょ、おい!!どうした!?俺何か気に障ること言った!?」
