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なつのおと

第4章 雨が降る



あずさに電話をかけようとケータイを開くとちょうど向こうから電話がかかってきた。


一瞬躊躇ったがすぐに通話ボタンを押して耳にあてる。


『…あっ!!ハル!!やっと出た…。どこにいるのっ?』


うわ、涙声だ。


かなりきてるなこれ…


面倒くさい。


「悪い悪い。今ね、」


音楽室の前、と言おうとして口をつぐむ。

「503の教室の前」


音楽室からちょっと離れた、目に入った教室の番号を言う。


静まった廊下に俺の声だけが響く。


なんとなく音楽室にいたとは知られたくないと思った。


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