Uターンズ
第2章 親子
「さて!薫くん、学校の水道で洗おうか…立てるよな?」
「ン…」
「学校、入れるんですか?」
「大丈夫。今日は祭りで、先生達出勤してますから…さ、行こ」
葉子は彼の後に続く。名乗りそびれていることが気になっていたが、彼はそんなこと全く気にする風でもなく、まるで前からの知り合いのように薫の手を引いて歩いている。
「6年生…って、大人っぽいですね」
「はい……美咲ちゃんは、しっかりしてますよ」
謙遜の仕方が可笑しくて、葉子はつい笑ってしまった。
「そんなぁ…同じクラスなんですか?」
「今年は離されました、美咲ちゃんが1組で茜が2組…」
校庭の隅の水道で薫の傷口を洗い、美咲がくれたバンドエイドを貼った。
「娘さんの、お友達のクラスまで… 凄いですね」
「えぇ?」
「お父さんって、そこまでちゃんと知ってるんだぁ… あ、すいません、ウチ母子家庭なもんで」
「小谷さん」
すぐ近くで男の声、校長だった。
「お話中すいません……ちょっと時間ある?」
「神輿がもうすぐゴールなんですよ」
「あぁそうだっけ…… じゃ今夜連絡します。……よぉ、こんにちは」
校長は薫の目線まで低い姿勢になった。
「ン…」
「学校、入れるんですか?」
「大丈夫。今日は祭りで、先生達出勤してますから…さ、行こ」
葉子は彼の後に続く。名乗りそびれていることが気になっていたが、彼はそんなこと全く気にする風でもなく、まるで前からの知り合いのように薫の手を引いて歩いている。
「6年生…って、大人っぽいですね」
「はい……美咲ちゃんは、しっかりしてますよ」
謙遜の仕方が可笑しくて、葉子はつい笑ってしまった。
「そんなぁ…同じクラスなんですか?」
「今年は離されました、美咲ちゃんが1組で茜が2組…」
校庭の隅の水道で薫の傷口を洗い、美咲がくれたバンドエイドを貼った。
「娘さんの、お友達のクラスまで… 凄いですね」
「えぇ?」
「お父さんって、そこまでちゃんと知ってるんだぁ… あ、すいません、ウチ母子家庭なもんで」
「小谷さん」
すぐ近くで男の声、校長だった。
「お話中すいません……ちょっと時間ある?」
「神輿がもうすぐゴールなんですよ」
「あぁそうだっけ…… じゃ今夜連絡します。……よぉ、こんにちは」
校長は薫の目線まで低い姿勢になった。