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Uターンズ

第16章 中学生

「あの場所さぁ、木の枝でどこからも見えないと思うだろ?」

茜は、黙ったまま自分の指先を弄んでいた。目の前がグラグラと揺れているような落ち着かない気持ちだった。

「実は… 意外と下から見えるんだなぁ……あっ!チキショー」

ゲームオーバーだ。裕介はちらっと茜を見てから、ゲーム機のスイッチを切り、TVの電源もオフにした。

「茜ちゃん」

茜は首がこれ以上曲がらないという位、下を向いて両手で耳を覆っていた。

細く、白い膝の上に涙がポタポタと落ちる。

「茜ちゃん…」

「泣くなよ……秘密にしててやるからさ」

裕介は少し顔を近づける。

「その代わりさ……」

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