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おとなりさま

第1章 カラフルオウム




「そういえば、エミルちゃん。
今日は街に出ないの?」


「うん、今日は予定があってね。
あ、晴美さん、もしかして
ラ・シャンスのマフィン狙ってた?」


「あらやだ。バレバレね。
今度街に出たときに、
またついでに買ってきて
もらってもいいかしら?
あのマフィンおいしいから、
病み付きになっちゃったわ。」


「はーい、了解!
マジであのマフィン最高だもんね!
そのうち、テレビで
取り上げられちゃうかもー。」



店員もイケメンがいてね、
あら、だったら私も今度
連れてってちょうだい、
きゃあきゃあ。

いい年こいた中年女性と
女子大学生の話に花が咲いてしまった。



何となく
居づらくなってしまった僕は、
さっさと朝食を平らげ、
そそくさと退散した。



というか、予定があるなら何故
ウチに寄る。

さっさと遊びに行けばいいものを。

変わった奴だ、と
階段を昇り終える頃、
後ろから声がかかった。



「俊ちゃん、公園行こう!
公園行って、バドミントンしよ!」

「……は?」



言っておくが、僕はこれでも社会人だ。
何故、女子大学生と一緒に
休日に公園でバドミントン。



「あのなぁ、予定があるなら、
そっちを優先させないと。
ほら、さっさと行動に移す。」


「違うよぉ、俊ちゃんと一緒に
公園行ってバドミントンが、
わたしの予定なの。ね、行こう!」


エミルは、トントンと
軽やかに階段を上がり、
僕の腕をとった。



「ちょっ、エミル!
僕はそんなこと一言も聞いてないし、
バドミントンやるとも言ってない!」


「だから今言ったじゃない。
いいじゃん、いいじゃん!
たまには運動しないとねー。」



僕の予定なんてお構いなしに、
彼女はどんどん前進する。

…予定なんて、
本当はないんだけれど。



自分勝手で強引。
やっぱり、僕はこの子が苦手だ。

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