おとなりさま
第1章 カラフルオウム
僕らの家から歩いて
15分ほどのところに
公園はある。
遊具の他、
ちょっとしたグラウンドもあるから
子供から大人まで集まれる場所だ。
ウキウキと、
ラケットとシャトルを用意するエミル。
無表情で、ぼーっと突っ立ってるだけの僕。
なんて対照的なんだろう。
「む、俊ちゃん、何でそんな顔してるの。」
僕にラケットを渡しながら彼女はこう言った。
何でって。
何故わからないのかな、この子は。
「まぁ、いいや。
運動して日頃のストレスを
発散しよう!」
あのね、僕はね、
今朝からストレスが溜まっているのだよ、
エミルくん。
きっと彼女にこう言っても、
通じないだろう。
僕は諦めてラケットを受け取ると、
エミルは嬉しそうに
小走りで7メートルほど離れた位置に着いた。
彼女の足元は10cmほどの高さのヒール。
果たして、
スポーツに向き不向きは
誰に聞いたら良いのだろう。
僕はヒヤヒヤしながら、
なるべく彼女が
立ってる位置から動かないように
絶妙なコントロールを発揮した。
学生時代に、
この運動神経があれば
僕の人生、何か変わっていたかもしれない。
変に気を使って、
彼女が目的とする身体を動かしての
ストレス発散は僕自身
できているのか、いないのか
誰も知る由もなかった。