刑事とJK~続編~
第10章 爆弾狂の名
「ククッ、早く上に移動したほうがいいね」
走りながら、小泉は言った
『まだ、人がいっぱい残ってるのに…』
水槽が割れたことで、水はどんどん出てくる
辺りはすぐに水浸しになり、人々の混乱は激しさを増す
皆、出口を探したいがために上の階に上がってこようとしないのだ
「馬鹿だよね、多分あのままじゃあこの階はどっぷり水で浸かっちゃうよ」
『一つの水槽が割れただけで!?』
「割れる水槽が一つとは限らないだろ?」
『え?』
また爆発が起こった
さっきと同様、小さい爆発だったが
水槽を壊すには充分だった
『そんな…!!』
「ほら、階段発見
上るよ」
『待って!!』
階段を上ろうとする小泉をゆうひは止めた
「どしたの?」
『ここにいる人たちに、上に逃げるよう伝えなくちゃ…!!』
「そんな時間はないよ。
それに俺は他人なんてどうでもいいからね」
小泉はゆうひを引っ張ったが、ゆうひは拒んだ
『他人がどうでもいいってんなら、あたしに構わないでよ!!』
「……」
その時、遠くから水が押し寄せて来た
「!!」
必死にこっちに向かって逃げてくる人が見えるが、水が押し寄せるスピードには及ばず
次々と呑まれていった
『あ…あぁ…』
「早く、ゆうひちゃん」
『でも人がいっぱい…!!』
「他人を救いたかったら、まず自分を守れ!!」
『……』
ゆうひは唇を噛んだ
しかし、足は階段を上ってしまっていた