刑事とJK~続編~
第10章 爆弾狂の名
間一髪
ゆうひと小泉が上りきったとき、1階のほとんどが水でいっぱいになった
『…ぅ…うぅ…』
人が…あんなにたくさんいたのに…
こんな酷いこと…ないよ…
「ゆうひちゃん、泣いてんの?階段は何もここだけじゃないし、助かった奴らも多いって」
『……』
「…にしても、相手も無茶苦茶するよねー」
小泉のお気楽な態度に、ゆうひは怒った
『あんただって一緒だ…!!
人を殺すことに躊躇いなんて何もないくせに!!』
「まあね」
『っ…』
そうやって簡単に返されると、それ以上言いようがなかった
「でもほら、この階にも人間はたくさんいるでしょ?」
小泉は辺りを眺めた
確かに人はいるが、パニックに陥っていることに違いはない
『…。
…どうすんの?』
「ククッ、いい子になったね
まず水族館内の構造を把握しておこうか」
『他の人たちは?』
「知ったこっちゃないよ」
冷たく吐き捨てた
『…今いる人たちで、協力したほうがいいんじゃないの…?』
「何を協力するっての?
口やかましい人間が増えたところで、何かメリットでもあるわけ?」
『…』
「館内の地図でも、探そうね」
小泉はゆっくりとした足取りで歩いて行く
ゆうひも、仕方なくついていった