刑事とJK~続編~
第30章 逃がしちゃったね
『それって…どういうこと?』
ゆうひは自分の目があっちこちにキョロキョロ動いているのがわかった
無意識に斉藤の手を握る
「爆発に巻き込まれて死んじまった犯人たちの中に、小泉はいなかったんだと」
ぐるぐるぐるぐると
足元から渦が巻き上がって来るようだった
それが全身を通り過ぎ、やっと言葉が出てきた
『…ふふ…じゃあ斉藤、逃げられちゃったね』
微笑を漏らした
「ああ…まんまと逃げられちまった」
斉藤も、口元を上げた
『…次は?』
「ぜってぇ捕まえてやる。南より先にな」
―――――――
「へくしゅんっ!!」
「あ?
体冷えたか?」
「いや…噂されてる気がして」
ズズッと鼻を啜った
「くしゃみは結構体に負担かかるからな、あんますんじゃねーぞ」
「それ無茶苦茶…」
「それより感謝しろよ、俺がお前を1番に見つけて、助けてやったんだからな」
「…助けてとは言ってないよ」
「素直じゃねー、おチビより素直じゃねー」
「おチビって誰?」
「俺の知り合い」
「…ふーん…、ねぇ井上」
「あ?」
「俺と、仲間でいて」
「…ダチじゃねーの?」
「ううん、仲間がいい」
「…わかったよ」
井上は頭を掻いた
「ククッ、ありがと」