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刑事とJK‡番外編‡

第23章 刑事とBG~Ⅱ~



それを見て、斉藤は唖然とする


「これは現実なのか、夢なのか…」


「斉藤さん!!」


その時、背後で祐司の声がした


振り返ると、後ろから槍が猛スピードで飛んできた


「くっ…!!」


斉藤は間一髪かわし、大きなダイニングテーブルを盾にした

「ハァハァ…マジでむかついてきた…」


テーブルには何本かの槍が突き刺さる


うかつには出れない…
祐司は?と、斉藤はタイミングを見計らってテーブルから顔を出した


「!」


祐司は団蔵と真っ正面から向き合っていた


(あのバカっ…まだ説得しようとしてんのかよ!!)


斉藤はいつでも出れる体勢を作った




……アァァァ……



団蔵の霊は弱っていた
先ほどの見えない壁へのダメージが大きかったのだろう



「…団蔵さん…このまま怨みの念が強いと悪霊化してしまいます、成仏できずにこの世をさまようことになります。せっかく80年も生きてきたのに、それを無駄にするんですか?」


祐司は冷静に言い放った
団蔵からの返事はない


その時、いてもたってもいられず、聡は団蔵のもとに歩み寄った


「お父さん…」



…サトシ…



「あんなやり方をして、すみませんでした…
お父さんに手をかけたこと、今では後悔してます。僕がやったことは、法で裁いてもらいます…」


聡は床に膝をつき、頭を下げて土下座した


「…でも、芳子を汚したことだけは許せません。芳子は僕の支えだった…」


「聡さん…」


「お父さんだって、お母さんのこと、愛していたでしょう?お母さんが死んでから、あなたは変わってしまった…」



……サトシ………



すると、団蔵の表情がみるみるうちに穏やかな顔になっていった


《そうだ…ワシはいつの間にか忘れていた…節子のことを…》



愛する者を失って、


どう生きていけばわからなくなった…


ぽっかり空いた穴を埋めてくれるなら、誰でも良かった…




《ただ…芳子さんは、どことなく節子に似てたんじゃ…》


団蔵は、芳子のもとに近寄った


《今まですまなかった…》

「お義父さん…」



芳子の目から、涙がこぼれ落ちた





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