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君が欲しい

第10章 君の涙

「お待たせ。」


アイスコーヒーをテーブルに置いた。


君はいつの間にか、長い髪を一つに束ねていた。


白いうなじにうっすら汗をかきレコードジャケットに目を落としていた。


それは息を呑むほど美しくて、そそられた。


「ありがとう。」


でも君は無邪気に僕を見るから、
今思った事が恥ずかしくなって、
かき消したい気持ちになった。


気持ちを切り替えよう。


「何聴く?」


「これ、聴いてみたい。」


手に持っていたレコードを僕に渡した。

「ん、待ってて。今かける。」


僕は手早くレコードプレイヤーセットし、針をそっと落とした。


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